耐えて切り開いた道 感動(朝日新聞 ひとときより)

『中高一貫校に通う息子がアメリカンフットボール部を引退しました。攻撃の時にボールを持った選手の走路を切り開くため、相手に体当たりする花形とはいえないポジションでした。
中学時代はほとんどレギュラーになれず、同級生や後輩が次々と試合に出る中、救急箱をもってチームのためグランドを走り回ってました。高校に進むときには辞めるでのは、と危惧したのですが、朝練や居残り練習といっそう練習に励み、レギュラーを勝ち取りました。高校最後の春大会では、足を損傷。このまま引退かと悔し涙を流しましたが装具をつけて続けることができ、念願の関西大会出場を果たしました。
優勝してお世話になった先生を胴上げしよう。チームの目標のため、足の痛みにも耐えました。
準決勝の相手チームは強豪校です。しかしチーム一丸となって最後まであきらめず、粘り強い試合をして21−26で惜敗しました。試合後は泣きじゃくってましたが、かけがえのない仲間たちに囲まれ、
晴れ晴れとした顔をしていました。
お疲れ様。感動をありがとう。』

高槻ラン攻撃を支えたOLのS君のお母様の記事である。この春のその堂々たるプレーぶりからは、中学時代の苦労は窺いしれなかった。アメフトは、ポジションごとに求められる能力が大きく異なるため、各人の適性に合わせてポジションごとの技量をこつこつと積み上げることができる。能力に恵まれてもあぐらをかいて伸びない選手もいるし、努力で最後に花を咲かす選手も多くいた。
遅咲きでも努力型の選手が生まれてくるチームはいわゆる”いい”チームなのだと思う。

高校、大学と全くの無名だったマラソンの高橋尚子さんが、講演で言う高校時代の陸上部の恩師からの言葉がある。

『何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。いつかきっと花が咲く』
 
何よりもS君自身が大きな経験をしたものと推察する。


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